山形県長井市にオープンしたばかりの管理釣り場「美秀苑」に、職場のY所長と一緒にヘラブナ釣りへ行ってきた。美秀苑はその豊かな魚影から「ヘラ鮒天国」という異名を持つほどの釣り場で、名前からして美しく秀でた園、という雰囲気があり、現地に到着すると水面に朝靄がたなびく実に風情のある釣り場で、これは良い一日になりそうだ、と根拠のない自信を胸に竿を出したのが運の尽きだった。
Y所長はヘラブナ釣りに関してはプロ級の腕前をお持ちで、開始早々からリズミカルに竿を曲げ、一尾、また一尾と手際よく釣り上げていった。その浮きの読み方、エサの打ち込み方、合わせのタイミング、どれをとっても無駄がなく、まるでヘラブナと意思疎通でもしているかのような鮮やかさだった。
一方の私はといえば、浮きが風に揺れるだけで一向に当たりが出ず、「もしかしてヘラブナに存在を認識されていないのでは」という疑念が脳裏をかすめるほどの静けさを保ち続けた。

Y所長が釣り上げた魚が手元でキラリと光るたびに、私はその様子を見守りながら「いいですねえ」と言い続けるという、なんとも奇妙な役回りを担うことになった。私はまるでギャラリーのようだった。
終盤になってようやく私にも当たりが来はじめ、何尾かを釣ることができた。最終的な釣果は、Y所長が圧倒的で、私はそのちょうど半分。「今日は調子よくなかったなあ」と帰り際にY所長がおっしゃったとき、それが所長の〝普通〟なのだと悟り、しばらく言葉が出なかった。
「ヘラ鮒天国」は確かに天国だった。ただし天国の恩恵を存分に受けたのはY所長だけで、私には天国の入口で軽く弾かれた感があった。また来ます美秀苑。次回は一人でこっそり特訓してから参ります。Y所長、今日も背中で多くを教えていただきました。




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